恋愛じかけの業務外取引




飛行機を降りてからも、ブルーメまでの道のりは長い。

バスで1時間移動して、そこからタクシーで15分。

午前9時発の飛行機に乗ったのに、到着したのは約束の午後2時に近い時間だった。

「堤さん、山名さん。お待ちしておりました」

「遠路はるばるありがとうございます。お迎えにも行けず、申し訳ありません」

「お久しぶりです。どうぞお構いなく」

「お忙しい時期にお時間を割いていただいてありがとうございます」

10月にも会った男性ふたりに迎えられ、せっけんと同じ香りのするブルーメのオフィスへ。

隣接する工場にはもっといるのだろうが、オフィスの中には10名程度のスタッフしかいない。

昨年オープンした直営店と通販を取り仕切るコールセンターは、アウトソーシングで他社に任せていると10月に聞いた。

私と堤さんは4人で話すには少し広めの会議室のような部屋に通され、席に座った。

ドキドキする。

ブルーメのせっけんを扱いたいという、一度諦めたバイヤーとしての夢。

それから、曖昧なままの堤さんとの関係。

今の私にとってとても大きなこのふたつのことが、今日……20代最後の日に決定するような気がする。

出された温かいお茶を啜っても、全然落ち着かない。

ビジネスモードで爽やかに世間話を続ける彼が頼もしい。

私は笑顔をキープして相づちをうつのがやっとだ。

「それでは、そろそろ本題に入りましょうか」

「ええ。よろしくお願いします」