「……深い意味はないよ。男にとって仕事は存在価値そのものだからね。君のためになにもできないままじゃ、カッコ悪くて付き合えないって思ってるんだろう」
オリオンのフローリングシートを大手に回さざるを得なかったから。
せっかくいい方向に進んでいたブルーメとの取引の話が、なかったことにされそうだから。
「そんなの、私にとってはぜんぜん重要じゃないのに」
私の努力を認めてくれて、辛いときは励ましてくれて、困ったときは応援してくれた。
彼が私のためにがんばってくれていたことも、悔しい思いをしたこともわかっている。
今回の結果が私の愛情を揺るがすことなんて、絶対にない。
「まあまあ、そう言わずに。かわいい顔して男気に溢れた、本当の意味でカッコいい青年じゃないの。お似合いだと思うよ」
「そんなの男性目線です。恋愛に仕事を持ち込んだあげく自信のないところなんか見せられて、女性的には大幅減点です」
「はは、厳しいなぁ」
お似合いという言葉だけは、ありがたく素直に受け取っておこう。
彼との業務外取引が終了して、私と彼は加害者と被害者ではなくなった。
家政婦と雇い主でもなくなった。
エージェントとクライアント、そして、男と女に戻ったのだ。
仕事次第だというのなら、明日のブルーメ次第では、なにか進展があるかもしれない。



