オリオンのフローリングシートは好評につき、ラブグリーンマーケットに限っては、先週のうちに完売となった。
目当ての商品が売り切れであることを知ったお客さまのガッカリした顔を見るのは辛い。
「ラブグリでは完売している」という情報はある程度認知されているため、フェア中にもかかわらず客足は落ちた。
売上目標は早いうちに達成したが、その後の売上の落ち方は後味の悪さに拍車をかけている。
他にもたくさん商品はあるが、今一番注目されている商品がなくなってしまった代償は大きい。
我々は大手企業に負けたのだ。
「だからといってウジウジしてるヒマはないんだよ。次は初売り!」
並々ならぬ熱意で意気込む私の声を聞いて、他のメンバーも悔しさに満ちた顔のまま背筋を伸ばした。
「そうですね。いつまでもヘコんでいられません」
「福袋のデザインも決まったし、がんばらなきゃ」
今回の件でダメージを負ったのは私だけではない。
フェアのために尽力した企画営業部のみんなや、一緒にPR活動を行ってきた広報のみんなも気持ちは同じだ。
この悔しさを初売りで晴らそうと、気持ちはひとつにまとまっている。
せっかくみんなの士気が高まったというのに、斉藤課長が水を差すように不安げな声をあげた。
「山名さん。この報告書……本当に出さなきゃダメ?」
私はすかさず即答する。
「ダメです。同じことを繰り返されたらたまりませんから」