恋愛じかけの業務外取引


つい大きめの声を出してしまって、私の宣言がオフィス内に響いた。

はね返ってきた自分の言葉に全身がそうだそうだと呼応する。

しかし上島は鋭く切り返してきた。

『でも付き合ってないんだよね? 慎重って言ってたけど、本当に真剣に考えてるのかな』

突っ込んだ追求に、ぐうの音も出ない。

だって上島の言う通り、私は堤さんの恋人とは名乗れないし、仕事を理由に私との進展を拒否したことへの不安は拭えていないのだ。

バッグから預かっている合鍵を取り出し、祈るように胸へと押し付けた。

左胸のキスマークはもう消えてしまっている。

あれ以来仕事でさえ会えていないが、一回して気が済んだ……なんてことはないと信じている。

でも、もしブルーメとの取引が本当に白紙になってしまったら?

私が彼に失望するかもしれないからこの件に決着がつくまで待つようと言われたけれど、もし彼が意識的にブルーメとの取引を白紙に持っていったとしたら?

私には彼がくれた合鍵とたったひと言の『俺も好きだよ』以外、信じる材料がない。

なんて心もとないのだろう。

鍵を握る力に力がこもる。

しばらくなにも言えないでいると、上島が痺れを切らした。

『……まあいいや。今回はあんまり重い感じで言わない方がいいと思って失敗した。でも真剣なリベンジ要請だってわかってもらえるよう、努力するよ』