心臓がひときわ大きく脈を打った衝撃で、視界が揺れた。
甘い顔が一変、射るような鋭い目で見つめられて息まで止まってしまいそう。
余裕を失った彼の獣のような顔つきに鳥肌が立った。
今の彼を見て、誰が「爽やか」だなんて思えるだろう。
今度は彼の方がトップスを脱ぎ捨てた。
1枚しか着ていない彼の滑らかな素肌と鍛え上げられた美しい体躯が露になる。
思わず手を伸ばすと、触れる前に彼の手に捉えられ、シーツの上へと押さえ付けられた。
自由が利かない状態で、官能的に理性を崩されてゆく。
彼が触れたところが魔法にかけられたように痺れる。
その痺れが全身に回って、熱を持ち、体内にどんどん溜まっていく。
大きな波にさらわれているような感覚。
どんなにもがいても敵わない。
大きな快感の波に抗えない。
「“黙って”なんて無理……」
涙目で顔を真っ赤にする私を、彼が笑う。
「うち木造だから、あんまり声出すと隣に聞こえるぞ」
そう言いながら触れる手を止めない。
ますます私を追い込んでいく。
私はできるだけ快感を我慢するように、体中に力を込めた。
すると彼はクスクス笑い、私の頬を撫で、額にキスをくれた。
「ごめんごめん。嘘だよ。力抜いて」
「でも……」
「クローゼットで仕切られてるし、多少は大丈夫」
そう言ってより強い刺激を与える。
私はもう完全に堤さんに支配されている。
自分が誘って始まった行為なのに、私の体は彼の言いなりだ。



