堤さんが私を思い通りにするために狙いを持って私を振り回していることはわかった。
私の要求に対して真面目に答えてくれないのが、そのためだということも。
しかし、生憎私は大人しくやられているだけの女ではない。
女が誰でもこういうことに受け身だと思ったら大間違いだ。
私の問いに追い込まれた彼の顔を見るのは実に愉快。
なるほど、やたらと私をいじりたがるのはこういうことか。
絞り出た苦しい彼の声が、私たちの間の空気を揺らす。
「したいに決まってんだろ」
彼の手が、私の肩から離れていった。
支えを失った私の頭部が少し下がり、彼の顔に髪がかかる。
「寝てて。私がしてあげる」
約2ヶ月前に傷つけてしまった頬に、そっと口づける。
唇を滑らせて耳元へ。
耳殻に舌を滑らせると彼が力むのを感じたので、なだめるように肩を撫でた。
色気のない私にもちゃんと反応してくれて嬉しい。
「マヤ、待てって、マジで」
「なによ。今さら止めるの?」
「違う」
彼の手が私の脇を支え、持ち上げる。
強制的に体を起こされたと思ったら横へと転がされ、起き上がった彼に一瞬で組み敷かれた。
「俺がする」
「でも」
「マヤは女なんだから、これ以上頑張らなくていいんだよ」
「でも……」
「いいから、黙って俺を感じてろ」



