恋愛じかけの業務外取引




この日の終業直後、帰り支度をしていると、堤さんからLINEのメッセージが入った。

おとといの深夜に【スープ、すげーうまい】というのが来て以来だ。

私は社内システムの勤務状況を『出社』から『退社』に変え、パソコンのシャットダウンボタンをクリックしてからメッセージを開いた。

【ごめん、洗濯物取り込んでない】

これを読んだ私は、思わず声に出してしまった。

「えっ……」

洗濯したのはおとといの夜だ。

今の時点で、ほぼ二日間外に干しっぱなしということになる。

いくら住まいが郊外といっても、都内の空気はキレイとは言えない。

外に出しっぱなしにしておくと、かえって汚れてしまう。

【取り込んでおきます】

私はそう返信し、急いで会社を後にした。

駅に着いてホームの列に並んだタイミングで彼から返信が。

【助かる。今日も帰りが日付越えそうだけど、マヤの飯食いたい。ダメ?】

読んだ瞬間、叫んでしまいそうになった。

私が彼を好きだと知ったうえでこのメッセージを送ってくるのだからタチが悪い。

どんなに落ち着けようとしても心が勝手に嬉しがって、胸が心地よく痛む。

【私、帰れなくなるんだけど】

送信。

我ながら素直じゃないなぁと反省しながら到着した電車に乗った。

すぐに既読になり、返信は数秒で来た。

【泊まれば? 明日は土曜だし休みでしょ】

そうだけど……。

しばらく返せずにいると、彼からもう1通メッセージが。

【会いたい】