「私だって来たくて来てるわけじゃないからね」
「わかってますよ。だから仕事、さっさと終わらせましょう。見ての通り、お店が忙しいんです」
たまに腹が立つこともあるが、彼女のたくましさは嫌いじゃない。
彼女もきっと私とは違う方法で、さまざまなものと戦ってきたのだろう。
彼女はまだまだ私に言いたいことがありそうな顔をしていたが、先日のような無駄な争いはせず、すぐに打ち合わせに入った。
「……というわけで、ゼー・ヴァッシェンは限定個数を休日だけ20個にまで増やして大丈夫」
「わかりました。あの、実はゼーよりオリオンのフローリングシートの方が気になってまして」
「なにかあった?」
「昨日だけでこれだけ売れたんですよ。今日もやはりこのシートを目当てにいらっしゃるお客さまが多くて」
「うーん。ちょっと想像以上かも」
堤さんに無理を言って仕入れてもらった、オリエンタル・オンのフローリングシート。
売れているのは嬉しいのだが、このペースで売れ続けると追加発注しなければならなくなる。
ただでさえメーカーに無理してもらったのだ。
在庫が切れても仕入れられるかわからない。
おとといも昨日も午前さまだった堤さんの仕事を増やすのは心苦しいが、相談してみよう。



