恋愛じかけの業務外取引


12月1日。

ラブグリーンマーケット全店でフェアを開始した。

雑誌やその他のメディアでアピールした甲斐があり、平日でも客入りは上々。

本日12月2日は1号店でワイドショーや情報番組向けのテレビ撮影も入り、大忙しである。

「ラブグリーンマーケットといえば、やはりこのウッディな店舗ですが、このエリアだけずいぶん雰囲気が違いますね」

かわいい女性タレントが大袈裟に話題を振ってくれた。

このディスプレイに注目してもらえて、私はカメラの後ろでこっそりガッツポーズ。

菜摘はメディア仕様のキラキラした笑顔でハキハキと語る。

「そうなんです。今回のフェアでは化学研究室のような展示をさせていただいています」

もう何度も同じような取材を受けているから、テレビにもずいぶん慣れたものだ。

「本当だー。よく見るとこのガラス管、全部試験管ですね。これはフラスコ、それにビーカー。理科室みたいで懐かしいし楽しい!」

「商品のよさを感じていただける工夫もたくさんあるんですよ」

彼女は我が社にとって、大事な広告塔だ。

テレビカメラの前でこれだけ堂々と可憐にかつ自然に振る舞えるのは、きっと社内のどこを探しても彼女だけだと思う。

「ああ……山名さん。来てたんですか」

感心していた直後のこの態度さえなければ、尊敬しかないのだけど。