恋愛じかけの業務外取引




終業後、合鍵を利用して堤さんの部屋を訪れた。

少し散らかった部屋を片付け、溜まった衣類を洗濯。

洗濯機を回している間に白米を炊いて、簡単なおかずを作り、保存容器に入れて冷凍庫の中へ。

おかずは肉と野菜を使った簡単な炒め料理だが、口に合うだろうか。

洗濯物を干したあとは、ユリに教えてもらったカボチャポタージュを作った。

この家にはミキサーがないから、玉ねぎをすりおろしたりカボチャを裏ごししたりと面倒な工程が多い。

しかし愛情をたっぷり注いだ甲斐あって、初めて作ったにしては、ユリが作るものと同等の味に仕上がったと思う。

スープは牛乳やクリームで伸ばして仕上げるのだが、伸ばす前の素は冷凍保存できる。

一食分だけ、マグカップに仕上げたものを準備して、残りの素は冷凍した。

カップの口にラップをかけ、レンジで温めるだけで飲めるようにして冷蔵庫へ。

この時点で、時刻は午後11時過ぎ。

今日中にもう一度会えたらいいなと思っていたけれど、仕事もなくなったし諦めて帰ろう。

帰宅まで待ったとして、疲れているのに私の相手をさせるわけにはいかない。

作ったスープは帰ってきてから温めて飲んでもらえるよう、LINEを入れておく。

忙しい彼が少しでも美味しく飲んでくれたら嬉しい。

既読はすぐにはつかなかった。

私はこの日、初めて彼に見送られずにこの部屋を去った。