恋愛じかけの業務外取引


彼はもう27歳になるのだが、強制的にキュンとさせられるようなかわいい笑顔は変わらない。

「久しぶり……って言っても、3ヶ月ぶりくらい?」

「やだなぁ。前に会ったのはもう半年前だよ」

「そうだっけ」

そう言われてみれば、前回顔を合わせたのは梅雨入り前だった気がする。

今は11月の末だから、あれからもう半年だ。

月日が経つのは早いなぁ。

なんて言ったらオバサンみたいだから、言わないでおかなければ。

断じてこの間菜摘に言われたことを気にしているわけではないけれど。

「もう12月になるね。マヤさん、もうすぐ誕生日じゃん」

驚いた。

3年も前に別れた女の誕生日を覚えているのか。

そういえば上島は、甲斐性こそないがマメな男ではあった。

「まあね。あんまり迎えたくないけど」

12月21日。

名前と同じで逆から読んでも12月21日。

この日、私はとうとう三十路になる。

「俺が聞いていいことじゃないかもしれないけど、彼氏いるの?」

「残念ながら、あんたと別れて以来ご縁がありませんよ」

「ははは、そっか」

一方で彼はこの3年で少なくともふたりの女と付き合ったようだが、夏に別れて今はフリーだという。

ちなみにこの話は、りんりんファンになる前から上島ファンであった松田から仕入れた情報だ。

今日の打ち合わせでは大好きなふたりがひとつの部屋に集結するということで、紅茶の茶葉もいいものであるうえに、チョコレートまでついてきた。