感謝の気持ちを持て余し、手足が疼いて温もりが全身を巡る。
高揚と期待に彼への恋心も混じって、胸の中が破裂しそうなほどに膨らんでいる感じ。
嬉しくて、愛しくて、苦しい。
また彼に惚れ直してしまった。
「この礼はマヤの手作りディナーで」
「わかった。腕によりをかけまくって作るね」
私の手料理なんかでよければ、いくらでも。
「そうと決まれば、俺んちに帰ろうぜ」
「うん。スーパーに寄らなきゃね」
こんな幸せな片想いでいいのだろうか。
彼を殴って怪我をさせてしまったくせに、そばにいられていいのだろうか。
堤さんは私のことをどう思っているのだろう。
クライアントの担当者。
自分を傷つけた加害者。
無償で家事を依頼できる都合のいい女。
頭では理解しているけど、堤さんは私のためにケーキを買ってくれたし、今日だって、私のために連れ出してくれた。
合鍵をくれたし、かわいいと言ってくれたし、ほっぺにキスしたし、抱きしめてくれた。
この異常な距離感のせいで、私は勘違いしてしまうのだ。
私は大事にされてるのかもしれないと。
そして期待してしまうのだ。
もしかしたら彼の特別な存在になれるのではないかと。
顔がキレイで、脱いだらスゴくて、仕事もできて、将来有望。
そんな彼に愛されたいと願っているのは私だけではない。
でも、今一番彼と密に接しているのは私なのだと思いたい。



