次に目が覚めたとき、あたしはミネちゃんに抱き上げられるところだった。
無事に元の世界に戻って来たみたいで、驚きで目を二回ほど瞬いた。


「もう心配したんだからー。いつの間に玄関になんか回ってきてたの?」

「にゃーおん」


知らないよう。さっきまで月の世界にいたんだから。

あれは夢だったのかもしれないけど、色々あって面白かった。
ミネちゃんとお話できたら、おしえられるのになぁ。


「あれ。ミルクの匂いがするね。誰かにもらった? だめよ? 知らない人からご飯貰っちゃ」

「みゃーおん」


さあ知らない。
でも疲れちゃったからもう眠りたい。

今なら、ママの夢を見れる気がする。


「もう今日は離さないから。モカちゃん、一緒に寝ようね」

「みゃー」


うん。いいよー。

あたしとミネちゃんが微笑みあっていると、カタセくんが後ろで騒ぐ。


「ええ! 俺は?」

「え? 片瀬くんの分のお布団もあるよ?」

「マジかぁぁぁぁ」


絶叫するカタセくんはうるさい。

なによ。ここは、あたしとミネちゃんのうちなんだからね。
寝かせてあげるだけ感謝してよねーだ!

ベッドにはいると、窓からお月様が見える。まんまるで大きくて、あたしに笑いかけているみたい。

今日の不思議な出来事は、ブルームーンの魔法だったのかもしれない。
きっとそうだね。




【fin.】