「モカちゃん疲れちゃったんですか? 私でよければ抱っこしますけど」
でもあたしたち、歩いている距離は一緒だよ?
アミちゃんだって、息がはあはあしてるじゃない。
「うん。でも。アミちゃんも疲れたでしょ」
「そうですねぇ。ちょっと一度家に帰ってお休みしましょう」
「うん」
そうして、あたしとアミちゃんはふらふらになりながら家まで戻る。
アミちゃんの家は工事中みたいなの。ドンドンカンカン、うるさくて仕方ない。
こういう責め立てるみたいな音は苦手なんだよねぇ。それにさっきのおじさんにも会いたくないなぁ。
「ねぇ、アミちゃん、さっきの変なおじさん、まだいるかなぁ」
「お義父さまの事ですか? 今はお仕事してくれてますよ。私たちの寝室を作ってくれているのです」
お部屋を作れるなんてすごいなぁ。
あのおじさんは大工さんなのかな?
「じゃあいないね。よかった」
ほっとして笑ったら、アミちゃんは困ったように笑ってあたしをおうちに招き入れた。
「モカちゃん、ミルクでいいですか?」
「うん」
アミちゃんは棚からお皿を取り出し、床に置き、ミルクを取ってくる。
あたしはお皿の前にちょこんと座って、尻尾を振りながらアミちゃんがミルクを注いでくれるのを見上げていた。
そのとき、アミちゃんのお腹のあたりに、ちかちか光るものが見えたの。
「アミちゃん、おなか」
首を傾げながら聞いたら、アミちゃんは嬉しそうに笑った。



