「この人ちょっと変だからイヤよう。見えないところに行こう?」
「お義父さまがですか。……あはは、じゃあお外に行きましょうか」
アミちゃんは苦笑してあたしを外に連れ出してくれた。
お外はぴかぴかのお天気だった。
やっぱり変。さっきまで真っ暗のお空だったのに。
「やっぱり夢だぁ。だってあたし、屋根の上でお月様見てママとお話してたんだもん。ママに会いたいようーって叫んだらここにいたんだもん」
「ママ? どんなネコちゃんなのですか?」
「綺麗な三毛猫なの。夢の世界なら、ママに会えるかもしれないの。お願い、ママを探して?」
「三毛猫ちゃんですね! 分かりました」
この広い世界で一匹の猫を探すなんて無理って言われるかと思ったのに、アミちゃんは真剣そのものだ。
途端にきょろきょろあたりを見回している。
あれぇ、アミちゃんって優しいんだなぁ。ミネちゃんの次くらいに好きになるかも。
「スズノさーん、お宅に猫っていなかったでしたっけ」
アミちゃんはいろんな家を回って、あたしにネコを見せてくれた。
でも皆違う。というか、ネコ同士なのに、ここのネコとはコトバが違うみたい。話が通じなくて手がかりさえつかめないや。
ママと同じ模様のネコにも三匹ほどあえたんだけど、皆違う。
あたしたちの足は、どんどんゆっくりになっていく。
ふう。疲れちゃったよう。
でもアミちゃんはまだまだ頑張ろうとしてるみたい。
あたしを見て、手を伸ばしてきた。



