だから、その後は知らない。多分、倒れてしまったんだと思う。
目を開けたら全く見たことのないところに居たのも、あたしのせいじゃないと思うよ。
「え? ネコちゃん?」
その声はなんだかかわいらしかった。ミネちゃんより高い声。目を開けると、変なおひげのおじさんとミネちゃんより小さい女の人があたしをじっと見てた。
ここはおうちの中みたいで、木の板が並んだ壁に、たくさんの葉っぱがつるされている。
窓からは明るい光が差し込んでいて、なんだか草のいい匂いがした。
え? あれ? なんで? さっきまで夜だったのに。
どうしてここは昼なの?
「なんてかわいい猫ちゃんなんでしょう!」
女の人が何か言ってる。ミネちゃんが話している言葉と違うみたい。どうしよう、何を言っているのか分からないや。
ミネちゃんよりも長いけど、ミネちゃんみたいなふわふわの髪が揺れてる。
にゃー。尻尾がむずむずするー。
「みゃーおん! みゃーおん!」
ねぇねぇ、ここはどこ? あたし、お家に帰りたい。ミネちゃんの所に帰らなきゃ。
女の人は変なおじさんとお話してる。背が高くて大きくって手品をする人みたいな帽子をかぶっている。
なんか、このおじさん怖い。
無駄に動きが大きくって、次に何するのかさっぱり分からない。
びくびくしているあたしを女の人がじーっとみた。不思議だけど、この人は全然怖くない。おじさんが怖いからあたしは女の人にすり寄った。そしたらね。またチカって光った感じがした。



