にゃおん、とお出迎え



それから一週間たって、あたしはすっかり元気になった。

ミネちゃんは朝から浮かれた調子で、こぉひぃさんに借りたというタオルを、やたら可愛くラッピングしている。

倒れたあたしを包むために借りたんでしょう? 
そんなプレゼントみたいにするのおかしくない?


「お礼に入浴剤も準備したの。これでいいかな」

「みゃーおん」
ニュウヨクザイってなんだか知らないけど、いいんじゃないの。


適当な返事をして、あたしとミネちゃんはアパートを出発した。


外は日に日に寒くなってくる。
そろそろ、勝手に抜け出してお散歩するのも終わりかなぁ。
冬になったら、ミネちゃん、小窓の鍵も閉めて出掛けちゃうもんね。

通り道で会う猫友達に、しばらくお別れかも、なんて挨拶もしながら、あたしたちはこぉひぃさんの喫茶店に向かう。


「モカちゃんはここで待っててね?」


入り口脇のレンガの花壇のところにあたしをのせて、ミネちゃんが言う。


「にゃー」


いやよぅ。あたしも入りたい。
でもあたしはダメなんだって。
ミネちゃんが言うには、インショクテンには動物は入れないらしい。
じゃあニンゲンは動物じゃないの?って聞いてみたけど、ミネちゃんには通じてなかった。