「俺のクラス、次自習なんだよね」 「…」 遅刻して困るの、私だけじゃないですか。 怨みを込めて彼を睨めば、楽しそうに笑う。 嫌いだ。 …嘘、好きだけど。 「いいじゃん、俺は沙良ちゃんといたいよ?」 ……本当、ずるい。 そんな風に、ふわり、甘く笑うなんて。 さっきの蝶は、どこに飛んで行ってしまったのか、もう見えなくなっていた。