「じゃあ、紗良ちゃんは花みたいだ」 私の目を見て、そんなこと言わないで。 ずるい、どうしたって期待する。 「…私だって、蝶になりたい」 そう呟いた声は、チャイムの音に消された。 「授業始まっちゃう!」 「もう遅刻だね」 「前園先輩もちょっとは焦ったほうがいいですよ!」 前園先輩が授業をサボってお昼寝なんて、いつものことかもしれないけど。