“怖い”……。 少し冷たい風のような仁科君の声。 大きな息を吐き出すと何かを思い出したかのように口火を切った。 「あの頃、成田さんだけが麻白さんを心配していたことは、みんなが知ってるよ」 「みんなが……?」 「そう。学校に来ない麻白さんのためにノート取ったり、家庭科の実習で、“三葉の好きなもの”って……毎回一つお菓子を多く作ったり……無駄なことしてるって言われてても、成田さんは絶対諦めなかったよ」 莉子……。 心の中で呟けば渇いていた目頭が途端に火がついたみたいに熱を持つ。