ーーーそれは、まるで風みたい………。 スタートがもう稲妻のように突き抜けていて、誰も引き寄せないその姿は圧巻の独走。 けど、あたしの胸が震えたのは……。 懸命に前だけを見つめて、背筋を張って、顎を引いて……。 空気抵抗をまるで感じさせないその綺麗なフォームは、誰かにとてもよく、似ていることを知ったから。