懸命に前だけを見つめる莉子は背筋を張って、顎を引いて、風を切る。 それは、空気抵抗なんかないみたいに走る。 莉子のひたむきな姿は風みたいに綺麗だ……。 歓声はもう誰が誰を応援しているのか不明なほど騒がしい。 莉子、頑張って……! 一位との差は僅差で………。 莉子が、がむしゃらに地面を蹴ってゴールテープを切った……。 その瞬間、あたしのクラスはみんな飛び上がって、勝利の喜びを抱え、莉子の元に駆け寄っていく。