わたしが道路に出た時、赤信号で車が飛び出して来た。わたしはそれに気づかずに歩こうとしていた。それにいち早く気づいたお兄ちゃんが、わたしを突き飛ばして自分が身代わりになって死んでしまった。


信じられなかった。目を開けたら目の前に車の下敷きになっているお兄ちゃんが見えて、赤い血が広がっていくのが見えて。怖かった。怖くてなにも出来なくて、ただただ『お兄ちゃん!お兄ちゃん!』と叫んでいた。


あの後は正直記憶にない。急いでお母さんと病院に行ってから、わたしはずっと放心状態だったらしい。


それから、わたしの家族が壊れていった。