その日は土曜日で、わたしとお兄ちゃんは家の近くの自然公園でいつも通り遊んでいた。

自然公園はわたしとお兄ちゃんにとっての遊び場所。滑り台にブランコ、ジャングルジムに砂場。子供が遊ぶのに十分な遊具が揃っている場所であるから、わたしはそこが好きだった。

"自然公園"という名の通り、自然がいっぱいなところも好きだった。色とりどりな花たちに緑いっぱいの草木。公園のど真ん中にある大きな大木は、わたしにとってお気に入りの場所だった。小さい頃はお兄ちゃんと二人で登ったりもしたっけな?


あの日、いつも通り遊んだあと、いつも通り家に帰ろうとしていた。


『また明日ここで遊ぼうね、実琴』



そう言ってお兄ちゃんは笑ってくれた。


なのに、なのに………………。




わたしのせいなんだ。
わたしがちゃんと周りを見ていれば、車が来たのに気づいていれば。今更こんなこと言ってても何にもならないのは知ってる。だけど、今となって後悔しかないんだ。





お兄ちゃんは車に引かれそうになったわたしを、庇って死んだ。