わたしだけがいない世界は、現実世界からわたしだけがすっぽりそのままいなくなっている世界だった。


最初の場面は学校で、わたしの席がなくなっていた。まったく悲しくはならなかった。だって、こうはならないかと望んでいたことだったから。逆に嬉しさを感じた。わたしの席がなかったから、この世界にわたしは存在しないんだなと思って、わたしはこの夢に名前をつけた。それが、『わたしだけがいない世界』だ。


それからボーッと教室の端に立っていると、出席が始まった。この時もわたしの名前は呼ばれず、わたしはやっぱり存在しないんだと思った。


このままこの夢が現実に起こって正夢にならないのだろうかという疑問も生まれた。


夢は、周りに縛られないで自由でいられるから好き。だから夢の中でわたしだけがいないのは、わたし自身がいないから何も出来ない。それは嫌だ。だから、この夢が正夢にならないかと願う。現実は夢と違って周りに縛られて自由に出来ないから、現実世界のわたし自身が消えてなくなればいいのに。わたしがずっと夢を見ていれば現実に加わることがなくなるから、わたしにとって利益でしかない。

だけどそれはそう簡単にいかない。学校と言う義務教育があるせいで、縛られてるこの生活。夢の中ではその生活なんてないから、嬉しい。


けど、目覚めの時は望んでなくてもやってくる。目覚めたその時、『わたしだけがいない世界』だったのが『わたし自身もいる世界』に変わっていた。


ある意味夢は残酷なのかもしれない。目覚めたその時気持ちが重くなる。夢を見ることによって、まだ夢を見ていたいという願望が生まれる。だったらずっと、夢の中にいたい。



夢の中に逃げれる方法はないのか。
あぁ、また一つ解決しない疑問が生まれた。