「えっと、桜ちゃん、今なんて言いました?」


「え? って言った」



カクッ、体が傾いた。


桜ちゃんっ、ちっがうよ!



「その前に言ったこと!」


「別にこれ熱じゃないし、だっけ?」



カクッ、立て直した体がまた傾いてしまった。



「もー、ちがーーーうっ」



まったく、なんでわからないかな。


それとさっきのの間だってば!



「え、わかんない」


「もう! 完全に私のこと好きだって言ったじゃん!」


「えー覚えてないからそれ嘘じゃない?」


「はぁっ?」



ちょっとありえないっ、また嘘!?


えっと、なんだっけ、私も忘れちゃったよ。


えーと、あれだ、好きなやつの風邪なら移されてもいい、みたいなやつ言ったじゃん!




「水鈴。なんでもいいけど、もう放課後だよ」


「嘘っ!」


「ほんと」



桜ちゃん曰く、保険の先生は出張に行ってしまったようで、先生から鍵の管理と私のお守りと送迎を任されたらしい。



ちくしょう…。


桜ちゃんから私への心配だとかそういう想いで私を見てくれていたんじゃないのかいぃ……。