「えっと…、熱は?」


「もう大丈夫」



にへらっと笑ってそう言えば、桜ちゃんは安堵の息をもらした。




「水鈴、自分の体調管理くらいちゃんとしなきゃ」


「うん」


「うん、って。ちゃんとわかった?」


「わかんない」




なんでかな。


おかしいの、今は桜ちゃんに甘えたい気分。


桜ちゃんを捕まえるチャンスのような気がするの。




「わかんなくても、桜ちゃんがいつも助けてくれるから」


「は?」


「だから、いいの」


「………」




黙り込んでしまった桜ちゃんを覗き込む。


それにしても今日は妙に当たり強いなぁ。


やっぱまだ昨日のこと怒ってんのかな。




「桜ちゃん…?」


「うるさい見んな」




ぐいっと顔を背けられてしまったけれど、隠しきれていない耳がとてつもなく赤い。


あれ。


なんで赤いのかな。




「……もしかして風邪、移った?」




なんてこった、困った!


桜ちゃんを巻き込んでしまった。


私にずっとついていてくれたからだっ。




「ご、ごめん桜ちゃん」


「別にこれ熱じゃないし」


「ほんとに?」


「ほんとに。てか別に好きなやつのなら移されてもいいし」


「え?」


「え?」



びっくりしすぎて聞き返すと、きょとんとした顔をした桜ちゃんと目が合った。