クラスメイトに質問攻めされている辺りから変に笑い方が引きつっているように見えて、もしかしたらと考えたのだ。




「朝、走らせてごめんね」




勘が当たってからは、今更だけど自分の用意が遅かったせいで、朝の時間に走らせてしまったことを後悔していた。


………まあ、用意が遅かったせいだけじゃないんだけど。




彼女の白い頬が赤く上気していてなんだか辛そう。


だけど、それがなんだかたまらなくて、




「監禁しちゃいたい……」




自然な動作で彼女の額に口付けて、小さく言葉が溢れる。


ハッとしたのも束の間。


腕の中の水鈴が寝ぼけて「それ犯罪ですよ……」というものだから、ふふ、と笑ってしまった。



彼女のお父さんは警察官なのだ。


ゆえに正義感あふれる女の子へと成長したのだ。



「………はぁ」




朝のツーショットを思い出して、彼は彼女をぐっと引き寄せた。


兄ちゃんはどういうつもりなんだろうか。


あんなに近い距離で水鈴と話して。




「……不安にさせないでよ」




赤くなった彼女の頬に軽く口付けて、まだ王子様になりきれていない彼はお姫様をベッドで寝かせるべくして保健室に向かったのだった。