次の朝、今すぐにでも学校に行ける準備万端の状態で桜ちゃんの家のチャイムを鳴らした。




「おっはよ、桜ちゃん!」



「……朝から元気だね、水鈴」




玄関を開けて出てきたのは、ボサボサの髪を掻いていて明らかに寝起きの桜ちゃん。




「えへへ。あ、昨日はパン耳ありがとね」



「あー、うん」




ここにきたのは無論、いつも通り桜ちゃんを学校へ連れて行くためである。


すっかりパン耳で機嫌を取り戻している私に対して「昨日の不機嫌はなんだったんだ」というようなシラーっとした視線を感じるけれど、水鈴は気にしません。


そんなの気にしてたら桜ちゃんの世話なんて焼けません。




「ほら、桜ちゃん!」


「……うん」


「早く支度してきて!」


「……」


「早く早く!」




振り返り家の中に入る桜ちゃんは、渋々といった感じだったけれど、これも気にしません。