「…ハンバーグ」
…え?
舜君が呟いた言葉。
「今日の晩飯、ハンバーグがいい」
驚いて舜君の顔をまじまじと見つめれば、頬がほんのり赤い。
舜君…ハンバーグ好きなの、かな?
ふふっ…それもなんだか可愛い。
こんなにかっこいい人に、可愛いだなんておかしいかもしれないけれど、母性本能をくすぐられるような感覚に思わずドキッとする。
ハンバーグか…うん、今日の晩御飯はハンバーグにしよう。
漸く今日の献立が決まって、自然と頬が緩む。
「はい、美味しいハンバーグ作りますね」
よーし、今までで一番美味しくなるように、頑張って作ろう。
舜君はその後もずっと照れていてか、電車が来るまで私と目を合わせてくれなかった。
その姿が可愛くて、私はずっと見つめていただなんて、本人には絶対に秘密だ。