舜、君…?
顔を見なくともわかった。
私は知ってる、この手のひらの感触。
抱きしめられた時の安心感。
全て今日知った、温かさに包まれ、瞳から涙が溢れた。
「つぼみッ…?大丈夫か?」
「しゅ、くんっ…ぅぅっ…」
「…ッ…くそッ…。…もう大丈夫だからな、もっと俺の方に寄って」
言われるがままに、隙間がなくなるほど舜君に抱きつき、体重を預ける。
よかったっ…、舜君が、来てくれてっ…。
怖かったっ…。
「おいオッさん、証拠押さえたから。逃げられると思うなよ」
「なッ…」
携帯を手に取り、舜君が痴漢相手と思われる男性と話しているのが耳に入る。
けれど内容は入ってこず、私は恐怖から解き放たれた安心感で電車の中ということも気にせず泣きじゃくっていた。
ぽん、ぽん、と、一定のリズムで私の頭を優しく叩いてくれる舜君の手。

