それにしても、そんなに凄い人がいたなんて初めて知ったなぁ…。
1年とはいえ、もう2学期も半ばに入った頃。クラスの人とも打ち解け、学園にも馴染んできたと言うのに、自分の無知さを痛感した。
でも、正直話を聞いた後でも王子と呼ばれる人物に興味が持てずにいた。
お父さんの影響で、私は男の人や、恋愛ごとから遠ざかるようになっていたから…。
お父さん……あ、そうだ!!
「ごめんサキちゃん!今日急いで帰らなきゃいけないの!」
「え?ああ、そういえば急いでたわね。何かあるの?」
「引っ越しするって言ってたでしょ?お母さんが迎えに来てるから、今日から新しい家に帰るの!」
帰りの支度を再開し、持って帰るものを急いで手に持つ。
「じゃあまた明日!」とサキちゃんに手を振って、私は慌てて教室を出た。

