や、優しいっ…!
舜君の意外な優しさに、感動にも近い感情が沸き上がる。
本当は方向音痴を極めたような性格をしている私だから、学校にたどり着けないんじゃないかとさえ思っていたから、一気に不安が消え去った。
大袈裟ではなく、本当に私の方向音痴は途轍もないのだ。
「あ、ありがとう舜君っ…!」
「…別に。同じとこ行くんだから一緒も別もないだろ」
「ううん!凄く助かります…!本当にありがとう!」
「…ッ。…大げさ。歯、磨いて着替えるから、ちょっと待ってて」
大きく首を縦に振り、「はい」と返事をする。
よかったぁ〜…舜君、優しいなぁ…。
もしかして、女嫌いっていうのはただの噂なのかもしれない。

