「しゅ、舜君っ…」


「ほんとつぼみって泣き虫。そんなとこも可愛くて好き」



ぎゅーっと抱きしめられて、たまらない気持ちになった。



「指輪、ありがとうっ、一生大切にするね」


「一生って…そんな喜んでくれると思わなかった」



舜君の胸に顔をすり寄せて、ぴったりとくっつく。



「それに…あと何年かしたら、もっといいもの填めさせてやるからな?」



そ、それって…



「舜君っ、ぅ〜」


「はいはい。わかったから泣くなって。可愛いなぁもう」



幸せすぎて、言葉なんかじゃ表せないよ。



「俺さ、記念日とかってあんまり、気にするタイプじゃないと思ってたんだよ。自分は」



確かに、私も少し驚いている。



「でも、違った」



唇が重なって、私はただそれを受け入れる。



「つぼみとはこの先も離れるつもりないから、何年もずっと一緒にいるけど、だからってその日々を当たり前みたいに思いたくない」



あぁ、私、舜君を好きでよかった。



「お前が俺のそばにいてくれることが、本当に嬉しいんだ」



好きになって、よかったっ…。



「1日1日、どんな日だってつぼみといたらかけがえのないものだろ?だから、そういう記念日とか大切にして、思い出を築いていきたいなって…」



じーんときて、舜君の姿に魅入ってしまう。



「聞いてる?」



そんな私を見て、聞いていないと思ったのか、ちょっぴり舜君が不機嫌になったのがわかる。


それが可愛くて、思わず笑ってしまう。



「舜君がかっこ良すぎて、見惚れてたの」


「…バカ、ちょーし乗らせること言うなッ…」



あ、照れてる…ふふっ。


私はまた笑みを零してから、綺麗な瞳を見つめる。



「私も…」



男の人が苦手で、

愛とか恋とか、そんなものきっと無いんだって思った。


でもね、舜君。



「記念日っていいね…こんな幸せな日があるなんて、知らなかったっ…」



舜君が、その全てが真実のことを、私に教えてくれたんだよ…?



「そんなの、俺のセリフだよ」



何度目かわからないキスをして、どちらからともなく抱きしめ合う。



「これからも、俺と一緒にいて」


「そんなの、私のセリフだよっ…」



私たちは、目を合わせて笑った。


再び、重なった唇。
舜君の手は意思を持ったように、私の身体に触れ始めて…


……どうやら今日は、離してもらえなさそうです。




《END》