そう、だったんだ。 「早くに亡くなった祖父が紅茶が大好きで、その気持ちを引き継ごうと祖母が始めたんだよ」 私は、コウタさんの話にティーカップを置いて耳を傾けた。 「僕は祖母が大好きで…」 そう話すコウタさんの顔はとても柔らかいもので、本当におばあちゃんが大好きなんだろうと思う。 「経営者が父に代わった途端、店の名前も変わって、珈琲専門店になった。紅茶の専門店って、あまりメジャーじゃないだろう?」