「失礼します」 「あ…来てくれた」 もう見慣れた、生徒会室の光景。 立派な椅子に座っていたコウタさんが、立ち上がって振り返った。 「どうぞ」 「これ、珈琲…?」 ソファに座らせてもらった私の眼の前に置かれたのは、芳ばしい香りのする珈琲。 これは、先ほど私が渡した珈琲だった。 「豆、挽いたんですか?」 「うん。あらかた道具は揃ってるんだ」 笑顔でそう答えるコウタさんに、なるほど、と頷いた。