「ここにいたら先生に見つかるからね。秘密基地に行こうか?」
コウタさんは、そう言って私に手を差し伸べてきた。
どうしてここにいるんですか?とか、
コウタさんでも授業サボったりするんですね、とか、
思うことはたくさんあったのに、今の私にはもう、その手をとることしか許されていないように感じて…
「少しは落ち着いた?」
秘密基地とは、生徒会室のことだったらしい。
コウタさんは温かいフェンネルティーを淹れてくれて、私の涙も止まっていた。
安心する香り…。
「はい…。さっきはあんな恥ずかしいところお見せして、すみませんでした…」

