1人動けず、立ち尽くす私。
「つぼみ?聞こえなかったか?」
「き、聞こえたっ…」
「じゃあ戻れって。チャイム鳴るだろ?」
「でもっ…」
「つぼみ」
何かを言いかけた私の声を、舜君の声が遮った。
「つぼみがいると話が出来ないから、席外してくれる?」
それは、完全に邪魔だと、遠回しに言っていた。
〜っ。
心臓がはち切れそうで、目からは何かが込み上げてくる。
この場にいることが許されていない気がして、もう私はいらないと言われたみたいで、舜君に背を向け、階段を駆け上がる。
2人の姿が見えなくなった頃、私の目からは雫が一滴二滴と流れていた。