…あ、ミルクが多めに入ってるダージリンミルクティーだ…。
私の好みを覚えててくれていたことに、何だかくすぐったい気持ちになった。
「もう荷物も全て届いているよ。つぼみちゃんの部屋は2階の舜の隣に用意させてもらった」
舜…?息子さんの名前だろうと理解した後、聞き覚えのある名前に引っかかる。
「ところでシンさん、息子さんはまだ帰ってきてないの?」
「ああ、もうすぐ帰ってくると…」
シンさんが言い終わる前に、その声は遮られた。玄関の扉が開く音に。
「…噂をすれば、帰ってきたみたいだ」
廊下を歩く足音が、段々大きくなっていく。
その音が限りなく近くで聞こえた時、扉が開く音と重なった。

