走る足元は揺れ続け、床や壁が崩れるような音が後ろから迫ってくる。
どうしよう……出口の扉はまだ豆粒ほどの大きさで、たどり着く前に追いつかれてしまいそう。
必死に走っても、なかなか近づけない扉。
ガラガラ、バラバラと崩れ落ちる音はすぐ後ろから聞こえ、ついに走る足元が崩れた。
巻き込まれたと思い悲鳴を上げたら、体が浮き、ものすごいスピードで扉に吸い寄せられる。
たちまち目の前に迫った扉が、自動で勢いよく開き、その外側にポンと飛び出した後は、白い大理石の床に落ちて、コロコロと転がった。
怪我は……ないみたい。
あんな高い所から落ちたのに、私ってすごい。
ここは白い通路の途中。
見上げると、五メートルほどの高さにある奏の扉が、薄れて消滅するところだった。
危機一髪だったということか……。
ホッと息を吐き出したら、コツコツと響く足音に気づいた。
振り向くと、通路のずっと奥の方に、管理人の後ろ姿が小さく見える。
崩壊に巻き込まれそうだったところを、引っ張り出してくれたのは管理人だったのか。
奏の心に触れて話しかけ、この世界の掟破りのようなことをしたのに、助けてくれたんだ。


