奏 〜Fantasia for piano〜


リストの名前を出されて、思い出した。

フランツ・リストの『超絶技巧練習曲』をやってみないかと、たぶん冗談で私のピアノの先生が楽譜を持ってきたことがあった。

私の技術で弾けるわけがないと、楽譜を見てすぐに断ったあのとき、先生はパガニーニの話もしていたような覚えがある。

リストのピアノの練習曲は超絶技巧として有名だけど、バイオリニストのパガニーニの真似だったのかな……。

当時の作曲家や演奏家の繋がりを知るのって、面白いね……。


これでもか!というほどの速いパッセージが、少しずつ音を変えながら繰り返されていた。

まさに息つく暇もないくらいの難曲で、この曲を弾きこなせるバイオリニストは、世界に何人いるのだろうと思うほどだ。

己の力を見せつけたロズベルグに、ワッと観客が沸く。

でもすぐに静まり返り、二曲目が始まった。


ラフマニノフの『ヴォカリーズ』。

ラフマニノフらしい濃厚な麗しい旋律が、絡み合うように繋がれる。

みんなうっとりと聴き入って、私の斜め後ろに座る女性から、感嘆の溜息が聞こえてきた。