水色の秋の空に鰯雲の群れが泳ぎ、柔らかな日差しが枯れかけた芝生を温める。
冷たい風が吹いても、今は寒いと感じない。
奏と一緒の音楽祭。
こんな素敵なデートができるなんて、嬉しくて心はポカポカと温かかった。
サンドイッチを食べながらの会話は、アコールのこと。
陽気なマスターが作るお菓子のことで、話が弾んだ。
「ブルーベリーマフィン、美味しかったな〜。いつもいるおじさんが、オレンジケーキも絶品って言ってたけど、私、まだ食べたことない」
「オレンジケーキ、美味しいよ。
でも俺は、アップルパイの方が好き」
「奏ばっかり色々食べて、ずるいよ!」
「いや、だって俺、作るの手伝ってるし。
分かったよ。綾が食べたがってたって言っておく。次に店に来たら、きっと食べられるよ」
奏とこんなに会話が続くのは、再会してから初めてのことかも。
私が会話を繋げようとしても、いつも奏の『うん』とか『そうだね』のひと言で終わりにさせられるのに、今日はどうして?
まるで恋人みたい……一応付き合ってるのに、そんな感想を抱いて嬉しくなる。
調子に乗った私は、カットフルーツのりんごをフォークに刺して、奏の口元に持っていった。


