でも、置いて行きたくない。
これを持って行ったからといって、奏に見守られているわけでも聴かせることができるわけでもないけど、身につけていないと不安になりそうで。
その気持ちがもろに顔に出ていたのか、梨奈は付けている自分のネックレスを外して、「貸して」と鍵を取り上げると、シルバーチェーンに通した。
それを私の首にかけてくれて、「よし」と微笑む。
「ほら、こうすれば持っていける。
このアンティークの鍵、お洒落なデザインだから、変じゃないよ。かっこいいかも」
「でも、このネックレス、梨奈のだから悪いよ」
私に貸してしまうと、梨奈の襟元が寂しくなる。
それを気にして外そうとしたのに、その手を梨奈に下された。
「いいよ、ネックレスくらい。
お守り効果で、綾がいい演奏してくれる方が大切だよ」
「梨奈……大好き」
「その言葉、香月くんに言ってあげて。
綾達、付き合ってるのに、付き合ってないみたいにドライだよね」
これでもキスは二回してるんだけど……とは言えない。
愛情があってキスしてくれたわけじゃないから、偉そうに自慢できない。
今日だって聴きに来てくれないし、頑張ってというメールの一通もない。
確かに奏ってドライだよね……その冷めた感じを、なんとかしたいわけなんだけど。


