ふっと意識が戻り、いつもの彫刻された天井が瞳に映った。

あの後そのまま私は倒れてしまったらしく、部屋のベッドに寝かされていたようだ。

目に映るものも、耳に入ってくるものも、そして匂いも。

今までの朝と何も変わらない。


・・・だけど。

ひとつ違うことと言えば、目を覚ました時にウィルが隣にいた事だった。


「目を、覚ましたか?ユーリ」

心配そうに、私の手を握り締めながら呟く。

ああ、そうか。
温かいと感じたのは、ウィルがずっと握っていてくれたから。


「私、倒れて・・・?」

「・・・ああ。私が部屋に運んだ。・・・すまない。私の力が至らないばかりに・・・」

ウィルは唇をかみしめ、目を逸らす。

そうだ。
もう私は、元の世界に帰れない・・・。

これから、どうしよう。
どうしたらいいんだろう。

心のどこかで帰れると思っていたから、帰れなくなったとわかった今、どうしたらいいのか考えようとするけれど、頭がうまく働かない。

ウィルを見つめると、肩が少し震えていた。
俯いていて顔はよく見えないけれど、もしかして・・・。