「兄上」

ウィルが声を掛ける。

「待っていましたよ。ああ、貴方がユーリですね」

思っていた通り、ルードもまた格好いい男性だった。


ウィルよりももっと深いブルーの瞳で、やはり目鼻立ちがしっかりとしていた。

銀色の長い髪を後ろで束ね、動くたびにキラキラと光る。


「ユーリです。お初にお目にかかります」


イザベラに教わった通りに、一礼をする。

「ウィルから話は聞いていました。大変でしたね。ここでの生活に不便はありませんでしたか?」

「はい、皆さんが色々と良くしてくれていますので、特には」

「そう。それなら良かった」

と、私に優しい笑顔を見せた。
そして、ウィルの方を見やる。

「ウィルも私が帰るまで皇太子として、この国を守ってくれた事、感謝しますよ」

「この上ないお言葉、ありがとうございます」


ウィルはその言葉を受け、深く一礼をした。


「そういえばウィル例の件ですが、ようやくわかりました」

「本当ですか!?」

その言葉にウィルは大きな声で反応する。

「ウィル、静かに。この話はこのような場では話せる内容ではないので、近いうちに時間を作ります。その時にヴォルグも含めてお話しましょう。あまりいい話ではありませんがね」

優しい口調だが、只事ではないのが感じ取れる。

「兄上、感謝します」

「では、この話はまた後ほど。今日は楽しんで下さいね、ユーリ」