パン!ボン!と外から花火の音がする。

しばらくして、城の外が騒がしくなった。

式典が終わり、戻ってきたようだ。

窓から正面の庭を見ると、庭には招待客が道路の脇に立ち、その間を白馬に乗った騎士や馬車が長い列をなしている。

その中にはウィルの姿もあり、人々に笑顔を向けていた。

遠くからでハッキリとは見えないけど、その笑顔はいつもの優しいもので、あんなにウィルの事で気分が落ちていたってのに、その笑顔を見たら思わず心が高鳴ってしまう。


「そろそろ行きましょうか、ユーリ様」

イザベラに声をかけられ、私は窓から離れた。

いよいよパーティーの時間。
しっかりやらなきゃ。

もう一度、自分に気合を入れた。




パーティーが行われるのはお城の中にある大広間。

近付くにつれて、高そうな香水の香りが強く漂う。

大広間の扉の前では、ウィルが私を立って待っていた。

正装に身を包んだウィルは、より美しくて高貴なオーラが漂っている。


ドキリ、と胸が鳴った。


「ここまで案内ありがとう、イザベラ」

イザベラはウィルに一礼すると後ろへと下がる。

「さあ、行こうか、ユーリ。今日も美しいね」

そう言って私の前に手を差し出す。

優しい笑顔で立つウィルをまともに見ることが出来なくて、無言で目線を少し逸らしながらウィルの手を取った。


笑顔を作らなきゃ。

今だけは、なんとしても。

「どうしたユーリ?」

「・・・行きましょう」

笑顔で、精一杯答えた。