「明日は何があっても心を乱してはいけない。常に凛と構えていること。わかった?」

「・・・っ」

なに・・・それ。
それを言いたいためだけにキスをしたの?

そのためだけに?

「・・・いきなりキスなんかされたら、誰だって動揺してしまうわ」

「大人、なんだから出来るだろう?」

・・・意地悪。
そうやって私ををからかって。

いきなりに慣れていない私を面白がっているんだ。

ウィルを睨みつけた。

睨みつけても、ウィルは動じない。


からかわれた悔しさで、涙が溢れそうになった。

「後は常に笑っていること。顔が怖いぞ、ユーリ」

「誰がこんな顔にさせてると思ってるの」

「・・・私のせいか?でも私は謝らないよ」

・・・悔しい。
こんな人だったなんて、知らなかった。

「じゃあ、私は準備があるからこれで失礼するよ。今日はゆっくりお休み、ユーリ」

そういうとウィルは部屋から出ていった。
ウィルがいなくなった後に、我慢していた涙が一斉に溢れ出た。

「ユーリ様・・・!」

イザベラが心配して、私の背中をさすってくれる。