「お目覚めになられましたか?」

扉の開く音が聞こえ、ようやく聞き慣れた言葉が返って来る。

ホッとして声がする方を向くと、一人の女性が立っていた。


その女性を見て、ドキッとした。

年は20歳くらいの、西欧系のとても綺麗な女性。

ブロンズの艶やかな髪を一つに纏め、メイド服のようなものを着ている。


明らかに日本人じゃない。

だけど、言葉は私でも分かる通り、日本語だった。


留学生?それとも生まれた時から日本に住んでいる人?

やたらと日本語が流暢だ。


「あなたは・・・?」

オドオドしながらも、その女性に声をかけた。

「私はイザベラと申します。半日ほど寝ていらして、起きないかと思ってしまいました」

「え?そ、そんなに寝ていたの?私。やだ、このベッドがとても寝心地が良かったからかも・・・。ごめんなさい、ご迷惑をお掛けしました。・・・早く家に帰らないと」

「ご自宅・・・ですか?どこにあるのです?」

「え?すぐそこの近所だけど」

「近所?城下街にご自宅があるのですか?」


・・・城下街?

私、そんな昔から代々続くような街には住んでいないけど。


「ちょ、ちょっと待って?ここはどこ?」


「ここ、ですか?ここはヴィード王国のお城。私はこの城の侍女にございます」