――帰る手段がない――


その言葉が心に突き刺さった。

私が必ず帰れる保証はない。

それは考えたくなくても、ずっと心のどこかで不安に思っていた事だった。


もう元の世界には戻れないかもしれない。


その時、私はどうする?



「・・・そうね。そうしたら、一人で生きていく術を足掻いて探してみるわ。いつまでも、ウィルに頼ることは出来ないもの」


それを聞いたウィルは、ため息をひとつ漏らす。

そして天を仰ぎながら、「まいったな」と呟いた。


「なんでそんなに強いんだ、ユーリは」

「強くなんてないよ。でも気持ちを強く持たなきゃ生きていけないもの」



そう。

辛くても、苦しくても。

強い気持ちを持ち続けなければ。

今は辛くても、きっとその先には光があるはずだから。