【改訂版】異世界でわたしは恋をする

「・・・帰りたいか?元の世界に」

低い声で、ウィルが呟いた。

「・・・なんでそんな事聞くの?」


私は落としていた目線をウィルへと移す。

ウィルは切ないような、苦しそうな、そんな表情を浮かべていた。

その表情に、また私の心が締めつけられる。


「ユーリはあちらの世界では一人なのだろう?寂しくはないのか?悲しくはないか?」

「・・・確かに自分の親は死んじゃったし、付き合っていた人とも別れた。・・・それでも、支えてくれた友達や知り合いはいたわ。一人でも、ひとりじゃない」


この世界は確かに居心地はいい。

みんな優しくしてくれて、申し分ないくらい良くしてくれる。

でも、それは自分の世界でもこの世界でも同じ。

だから・・・。


「私はこの世界の人じゃないから。帰れるのなら、帰らないといけないよ」

濁りのない澄んだ瞳が、私を真っ直ぐに見つめている。

その瞳はとても綺麗で、それでいて切ない。

「・・・ユーリ」

「・・・ん?」

「もし、帰る手段がない、となったらユーリはどうする?」